教室に戻ったA君   5.08


相談を受けたのは9月のことでした。

A君は、6年生でした。
毎朝、登校はするのですが、もう、随分と教室で勉強していません。
かと言って、別室で勉強しているわけでもありません。
朝、教室で出席の確認を済ませると、家へ帰ります。
給食にあわせて、お昼に学校に戻り、また、家へ帰ります。
このような状況が、5年生のころから続いているようです。

A君は、勉強がわからないようです。
勉強が難しくて、じっとして授業を受けることができないようです。
だんだん教室から、足が遠のいていきました。

学校からは、とにかく学校には来させてください、と言われました。
お母さんは、毎朝、A君を登校させました。

お母さんと一緒に学校に行ったのは、11月でした。
校長との話し合いになりました。

A君の状況について共通理解を図ること。
A君に対して必要な支援、援助は何か。
学校ができること、家庭がすべきこと。
学校と家庭の協力をどうして行くかを長時間話し合いました。

学校は早速、A君用のカリキュラムを作成し、教員の指導体制作りをしました。
家庭では、課題や問題にばかり目を向けず、安心できる環境作りを心がけました。
学校と家庭の連絡が密になってきました。

周囲のA君に対する接し方が変わって来たのを、A君は感じ始めました。
するとA君は、自然と教室に足を向けるようになっていきました。

勉強がわかるようになったわけではないけれども、
ありのままの自分を受け止めてくれ、認めてくれる親や教師を感じられることによって、
A君は教室に戻っていきました。