夏休みのT君 2006.9月
T君は、中学2年生。
昨年の夏休みから、一緒に勉強をしています。
夏休み前、T君は、
「先生、夏休みは週に1回でなくて、もっとできませんか。」
と、申し出ました。
「どうして?」
と聞き返すと、
「宿題を教えてほしいんです。」
という返事が返ってきました。
今は、中学校でも、教科ごとに宿題があるのです。英語や数学などは夏のドリルがあって驚きました。T君は、担任の先生と話し合い、「すべては無理でも、これはできる、と思えるものはやってみよう」と約束していました。そこで、週2回、数学をしっかりと勉強することにしました。
T君は、これまでに中1の数学の学習を終え、中2の連立方程式の学習まで進んでいましたので、夏休みの学習は、それらの復習の意味もありました。
夏休みが終わりに近づいたある日、連立方程式を使う文章題を解いていたとき、T君が、ふっと、つぶやきました。
「僕に、こんな問題が解ける力があったんや。」
その顔には、ほんの少し笑みがこぼれていました。
T君は、学校には行けなくても、クラブ活動には参加できるようになっていました。夏休み中の練習にも進んで参加していました。T君なりに充実した夏休みが送れていました。
お盆前のある日、T君が、
「先生、宿題のことで悩みができました。」
と、とても暗い表情で言います。どんな悩みか聞いてみると、クラブの顧問の先生に、"宿題ができない者は、新人戦には連れて行かない"と言われたそうです。
「それについて、君はどう思うか。」
と尋ねると、
「顧問の先生は、みんなに、勉強もクラブもがんばれよ、と言いたいんだと思います。」
「それは、顧問の先生の教育方針だと思うんだけど、僕には、無理です。」
これは、T君には解決できる問題ではないので、私からT君のお母さんに連絡を取り、担任の先生と顧問の先生で話し合ってもらうことにしました。早速、担任の先生から連絡があり、T君の事情を理解してもらったそうです。
夏休み後半も、T君は、クラブ活動に励み、2学期の始業式には、登校し、クラブ活動にも参加したようです。
子どもへの親と先生の共通理解が、やはり、大事なのですね。