2006.10.21亀岡教育研究集会 不登校分科会 資料
”子どもが学校に行けなくなるとき”
1.子どもが学校に行けなくなる時
B君(中学2年生)
(1)きっかけ
中学1年1学期末・・・友だちとの喧嘩・仲違い
(2)サインなど
B君は、小学校の5年生の頃から小学校6年生の2学期まで教室に入ることができなかった。6年生の3学期から教室に入って授業を受けることができるようになった。中学入学後も1学期末まで続く。友だちとのけんかをきっかけに学校へ行けなくなっていった。
2年生になって、クラブ活動には参加できるようになっていったが、「夏休みの宿題が1つでもできなかったものは新人戦には連れて行かない」というクラブ顧問の一言に悩む。
また、「クラブをしたいのなら、きちんと学校に来なさい。」と指導を受け、その後クラブにも行けなくなった。
(3)対応
1年生の時には週に1度の連絡。(電話または訪問)
2年生では、週に2・3回電話で連絡、時々に家庭訪問。
2年生のはじめに、特別支援の担当の先生から、支援についての話があったが、学校へ来た時の別室での学習指導であって、実際には、できていない。
(4)現状
週1回、数学を中心に学習をしている。数学は中2に一次関数の学習を終えるところ
地域の野球クラブに入って、毎週末は、練習や試合に参加している。
学活や体験学習などには参加できている。
(5)課題
B君の状況や対応などについて教職員の共通理解が必要。学校へ行きたいというB君の気持ちを尊重した登校支援の計画や取り組みが必要か。
C君(小学6年生)
(1)きっかけ
小学校5年生2学期・・・給食時の先生の指導
(2)サインなど
・ ・ ・ ・
(3)対応
3学期になり、C君は学校へ行くが、またも、給食時の先生とのトラブルで学校へ行かなくなる。
家庭から連絡するまで、学校からの対応はなかった。
家庭から、先生の訪問を要求。
6年生の修学旅行は、家族で参加。
(4)現状
先生の訪問を心待ちにしている。
学校へ行こうとして、放課後や夜間などに登校したこともある。
理科の先生が関わりを持ち、授業の連絡や誘いをしてくれる。理科の授業には参加できる。
(5)課題
このC君の気持ちに依拠した、先生たちとの関係作りや対応ができるのではないか。
D君(中学3年生)
(1)きっかけ
いじめ・グループの中の力関係
(2)サインなど
中学2年生の1学期にいじめに合い、学校へ行けなかった時期があった。
3年生の1学期の終わりに集団で取り囲まれ暴行を受ける。
2学期になって、9月の中ごろから、学校に行けなくなった。
(3)対応
喧嘩や仲違いは、D君の行動に問題があり、本人が正さなければ解決しない。
9月に行かなくなってから、学校や先生からの連絡は一切なし。
親から学校に連絡を取り話し合いの場を持ってもらう。
(4)現状
不安感から、些細な言動によって、精神的に不安定な状況に陥ることが時々ある。
家族関係が、安定してきた。
学校の対応には主体性がなく、計画性もない。
(5)課題
先ずは、D君をありのままに受け入れること。
D君に寄り添った対応を工夫すること などが、学校の取り組みに必要ではないか。
Eさん(中学3年生)
(1)きっかけ
中学2年生の2学期・・・・先生の叱責・対応
(2)サインなど
中学2年生なって、いじめを受けるようになった。死ねなどと言われる。
先生に訴える。・・・・先生の指導・・・・いじめた生徒たちが謝る。
その後も、陰でいじめが続く。
Eさんが友だちとふざけあっているところを担任が見かける。
「あなたも同じことをやっているではないか。」と叱られる。
(3)対応など
その後、制服を見ると吐き気がしたり、「死ね」という幻聴があったり、精神的に追い詰められた状況が続いていた。
学校への不信感
(4)現状
塾に通い学習を続けている。
母親等の支えがあり、精神的に安定した生活が送れるようになって来た。
(5)課題
現状を理解し、家庭の取り組みを支援すること。
学校は、このEさんの件について振り返り、反省をし、教訓を引き出すことが求められている。
2.「だれもが不登校になる可能性」をどう理解するのか
(1)「誰もが不登校になりうる」とは、個人の資質が不登校の要因ではなく、不登校を生み出す社会的・教育的な要因があるということ
(2)学校教育のあり方や教育制度も社会的・教育的要因の一つとして考えられる。
(3)子ども達の目の前の学校教育や教育制度は、日々の授業や諸活動、そして先生たちのことである。
(4)つまり、子どもたちを不登校にする要因の一つは、教師自身と教師の行う教育的実践である。
(5)不登校問題への対応としては、そのことを踏まえた教育的実践が求められている。
3.不登校のきっかけ
(1)学校基本調査に見る不登校のきっかけ
「本人の問題」「家庭の問題」「友だち関係」等が多くを占める。
(2)不登校体験者へのアンケートによると
「学校や先生の問題」「いじめ」が上位を占める。
(3)私のかかわってきた子ども達
「いじめ」「先生との関係」が多い。
4.不登校のはじまりのときに
(1)学校を休むこと、行きたがらないことは、子ども達のサイン
・子どものサインと受け止め、子どもの気持ちに寄り添って考えるか
・休むこと、登校しぶりを問題行動としてとらえるか
(2)しんどいときに、自分の気持ちを言葉で表現することは、子どもにはできない
・まわりの大人(親・先生)が察してやることが大事
・しんどさや辛さがわかってもらえるだけで、子どもは気が楽になれる
(3)子供を叱ったり、がんばりを求めたりすることは、子どもを追い詰めることにつながる
・信頼の関係が弱くなる
・不登校を継続させる
(4)ゆっくり休める環境と要因への対応を
・子どもの状況が休養を求めているなら、ゆっくり安心して休ませてやること
・子どもの気持ちに寄り添うこと、気持ちをわかってやること
・不登校の要因への対応
いじめが要因なら・・・・・・いじめへの対応が必要
友だち関係のもつれなら・・・関係作りの取り組みと展望を
勉強がわからないのなら、運動ができないのなら・・・・その要因への対応を
・問題が解決しなくても、周りの大人が理解してくれるだけで、子どもは安心できる
5.不登校が継続した場合
(1)学校へ行かない期間が長くなると
・学校へ行けない、行かない要因は変化していく
・あきらめと現状容認・・・新たな不安
(2)家庭、家族の中だけの葛藤
・家族の抱え込み
・学校教育の限界・・・・・学校へ来ていない子どもへの対応ができない
・新たな視点が必要・・・・子ども論、発達・成長理論の観点から
(3)安心・信頼の関係づくり
・不登校解決への見通しと展望
(4)家族ができること・学校ができること
・子どもの成長発達を支援するパートナーとして
・進路を切り開くための支援
・子どもと共に家族をも支える取り組みを
6.不登校を成長の糧に
(1)その気になれば、子どもは動き出す。
(2)その気を育てる教育・・・・学校ではできない教育
(3)不登校の条件を生かして
(4)子どもは誰も、大きくなること、賢くなることを、欲求として持っている
(5)子どもを信頼し、子どもを尊重し、共に、成長する関係を
(6)不登校と向き合うことは、人生と向き合うこと・・・・自分らしい生き方を