不登校ゼロ・不登校半減計画を考える
| 7月22日(土)の「しんぶん赤旗」 | 「教師のための不登校サポートマニュアル」 (不登校ゼロへの挑戦) 目次 |
| 不登校半減を目標に掲げている自治体 | 教師のための不登校サポートマニュアル 第1章 不登校についての基本的なとらえ方・考え方 NEW |
| 新潟市の不登校半減計画 | |
| 「不登校ゼロの達成」 小野昌彦 著 | |
| 新潟市 不登校未然防止中学校区プロジェクト |
「不登校半減3年計画」 数値化で強制 危ぶむ声 "わが子が学校から除外される" 新潟市
衝撃的な記事が、7月22日(土)の「しんぶん赤旗」に載りました。
新潟市教育委員会が、2006年4月から、「不登校未然防止プロジェクト」をスタートさせ、2008年までの3年間で、不登校の児童生徒を半減させることを目標にしていることを受けての記事です。
記事によると、その内容は、
@ 各小中学校は、月3日以上欠席した児童・生徒の名前、欠席理由などを書いた欠席管理状況表や月別一覧表を作り、市教委へ毎月提出する。
A 各小学校では、不登校傾向にある小学6年生を選び、欠席理由や児童・親の登校への意欲、学校生活の様子、生育暦など約20項目に及ぶ記入項目がある個人シートを作る。(モデル校区の個人シートは、外部の専門家のコメントを付けてもどす)
B 同じ学区内の小学校(114校)、中学校(58校)で年3回以上の情報交換会を行う。
などというものだそうです。
新潟市教委は、このプロジェクトについて、市内の不登校の児童生徒の発生率は全国平均、県平均をそれぞれ上まわるなど、小中学校とも高い状況が続いているとし、「中学校入学後に不登校が急増しているという『中一ギャップ』を解消し、新たな発生を防ぐことが不登校減少につながります。学校の働きかけで六割は防げます。不登校の予防に力をおいた事業」
と説明しています。
これに対して、親や教師からは次のような疑問や不満の声が上がっていると、記事は伝えています。
「不登校児の問題まで、数値で表して教師にハッパをかける。これでは、教育の取り組みとはいえないのではないでしょうか。」
「個人シートには、教師も名前を書かなければならない。来年度から教員評価も行われるので、不登校の生徒がいるクラスを引き受ける先生がいなくなるのでは。」
「私たちのような親に何の説明もないのはどういうことでしょう。『半減をめざす』というと不登校の子どもが『悪く』、『除外する』と言っているように、私には聞こえてなりません。」
「数値ではなく、どうしたら学校へ行けるようになるのか、親、先生・学校が一緒になって取り組むことを目標にしてほしい。」
新潟市教育委員会は、5月11日に不登校問題の担当教師や管理職を集めて説明会を開いたといいます。親への説明はないそうです。
記事は、この新潟市の取り組みを、文科省の「教育基本法改正案」にある、「教育新興基本計画の先取りともいえると、指摘しています。
2.不登校半減を目標に掲げている自治体(2006年9月20日現在)
新潟市の不登校半減計画
山形県 第5次県教育振興計画 (2004年)
「5年間でいじめ、不登校の半減をめざす」
栃木県
市教育長による不登校「半減」目標の提示
3.新潟市の不登校半減計画
新潟市教育委員会・学校指導課だより NO3(2006.7.21発行)
特集「不登校の改善に向けて」 木戸中学校
"学校で仲間と一緒に学びたい本人の思いや願いを大切に受け止め、一人一人の小さな変化を多くの職員で見守り、不登校の改善を 図っている木戸中学校の取組を紹介します。"
[登校できない生徒とのかかわりの一例]
(不登校状態から登校までの流れ)
・学級担任が頻繁に家庭訪問をし、生徒との話の中で登校のきっかけをつかむ。「学校に来てみない?みんなのいない夜でもいいよ。」
・夜7時ごろ登校した生徒にまずは担任が、そして徐々に支援教育部の先生、担任外の先生方が交互にかかわりをもち、指導の糸口を探る。(多くの職員がかかわりを積極的に申し出てくれた。)
・職員とのかかわりを密にする一方、時間を次第に昼間にシフトし、夜でなくても人と会える状況ができたとき、学習支援室(適応教室)へ入室を誘う。
・学習支援室では、いろいろな教科のベテラン教師が個別に対応できるよう時間表を調整している。
| 黒板には、各人の予定表が明記してある。自分の状態を考え、担当してくれる先生の専門教科を考えながら生徒自身が学習予定を決める。学習に取り組めないときは、担当の先生とゲームをし、学習への意欲を取り戻す。 |
一人一人を大切にする学校の支援体制
| A学年部 | → | 生徒 | ← | Bコーディネーター |
| ↑ | ||||
| @支援教育部 |
@ 支援教育部は、カウンセリングの堪能な職員をリーダーに、各学年主任、生徒指導主事、養護教諭、特別支援学級担当、スクールカ ウンセラー等で組織。学校生活に適応しにくい生徒に対し、学年・学級の枠を超えて個別支援策を検討、「支援策」を具体化する。
A 学年部では、「支援策」を受けて、学年体制や学級経営の視点でここの生徒を見守り指導する体制を確立する。
B コーディネーターは、専門的な視点からの観察と助言を行う。また、特別支援の視点から関係機関や専門医との連絡調整に当たる。
[不登校未然防止中学校区プロジェクトの理解と活用を!]
[取組の考え方]
月3日の欠席を目安に、すべての児童生徒をきめ細かにとらえ、不登校傾向のサインを見逃さない。学校と教育委員会が一体となった不登校予防の取組です。
これは、どの子も不登校になる可能性があることを、職員全員で意識化することと、気になる子をみんなで見守る体制づくりにつながります。
[不登校傾向のサインをいち早くつかむ体制の整備]
児童生徒の欠席状況をきめ細かに見守る校内体制及び教育委員会のサポート体制の確立
月欠席3日の基準による児童生徒の欠席状況の把握
新潟市児童生徒の1人当たり年間欠席数 4.32日/H17
【学校における児童生徒の欠席状況】
月3日の欠席把握
(学校)
| 児童生徒 | 児童生徒の欠席状況をきめ細かに見守る体制 (月欠席3日の基準) *欠席状況から児童生徒の心の状態を読み取る *不登校傾向への兆しをつかむ |
→ 働きかけ |
| 生徒の欠席状況をきめ細かに見守る体制(月欠席3日の基児童準) * 欠席状況から児童生徒の心の状態を読み取る * 不登校傾向への兆しをつかむ |
| (教育委員会) | ↓ | ↑ |
| ○欠席状況についての情報の共有 ○不登校傾向、不登校への対応のノウハウの提供 ○不登校児童生徒の状況の共有 |
小・中連携して中1ギャップ解消のための不登校予防
《中 学 校 区》
小・中連携しての不登校予防の取組
【小中連携支援シートの活用】
○ 不登校傾向児童の情報共有
(小学校6年を対象にした情報の共有と予防対応)
○ 不登校対応の一貫性
4.「不登校ゼロの達成」 小野昌彦 著 (奈良教育大)
書の構成 まえがき
第1章 不登校ゼロの達成と維持
第2章 不登校の個別支援計画の進め方
第3章 不登校の解決事例の実際
第4章 不登校ゼロのための8か条
あとがき
(1)まえがき(概要)
それぞれの不登校の子どもに合った支援を行えば、再登校は可能
不登校問題解決のための学校体制
不登校の子どもへの個別支援計画の作り方
行動契約 6つのステップ 再登校の準備評価のダイヤグラム
再登校評価のダイヤグラム
さまざまなタイプの典型例
支援形態 専門支援機関 教育支援センターなどの活用例
不登校ゼロのための8か条
不登校の予防 再登校支援 再発防止・・・・不登校ゼロのための3つの目標
従来、学校教育現場における不登校への対応については、どうすれば問題を解決するのか、という視点からの対策が少なかった。
・本来は神経症タイプの不登校への一時的対処であった「待つ」という方法を、すべての不登校のタイプに状況の如何に関わらず適応し てしまっている学校、家庭が多いことも原因の一つ
・また、不登校問題から二次的におきる問題の予防のみを目的とした「〜をしてはいけない」教育が主流であることも原因の一つ
結果として、これらの対応は、現在、全国公立小・中学校で約12万1000人、全児童生徒数における割合が前年比約0.02%しか減 少していないという現状を招いている。
*どのような問題においても本質的な解決には、摩擦、葛藤は避けられません。不登校問題解決のプロセスには、必ず「山場」、本質的 問題解決のための摩擦に耐えて、生産的解決を図る時期がありました。「待つ」「〜をしてはいけない教育」では、そのような問題に直
面する摩擦は生じませんが、当然、本質的な問題は解決しません。
*さらに、不登校の問題は、不登校状態が継続すること自体で学習の遅れ、体力の低下といった新たな問題が生じるという性質の問題
であり、時間の経過がさらに解決を困難にします。
筆者が、再登校という依頼を不登校の子ども本人から受けた場合
・ まず最初に、学校教育現場、保護者に従来の対応を変えてもらう必要が
・ 教師のみなさんには、次のようなお願いをする。
「自分は登校刺激だからといって遠慮されないでください。」
「先生が愛情を込めて不登校の子どもとかかわってくださったら、子どもは学校に来やすいのです。」
「前の日より何かできることが増えたら、すぐ子どもを褒めてあげてください。」
・ また、保護者のみなさんには、次のようなことをお願いしました。
「義務教育年限の場合、お子さんの教育保障の責任者としての保護者のお考えをしっかりしましょう。」
「早寝早起きの生活リズム、食事習慣、できる限りの準備を家庭でしましょう。」
「子どもの不安は、適切な目標設定と充分な準備、できたら褒めるで取りましょう。」
「褒め上手になりましょう。」
「ありがとう、ごめんなさいを教えてください。」
「子どもが約束を守れなかったら、先生が無理矢理やったと責めるのではなく、お子さんにお詫びと自分を表現する言葉
を教えてください。」
・ このように子どもの周囲の方々の意識改革、行動改革を行いながら、それぞれの子どもに合わせた個別支援計画を日々実施して、ふ
と気がつけば、いくつもの学校が不登校ゼロになっていたのです。
(2)第2章不登校の個別支援計画の進め方
・ 不登校とは、家庭、学校という往復パターンが家庭で停留し断続してしまった状態(小林、1988)
・ 断続的な不登校状態が続いていることになれば、完全に学校が回避すべき対象となっていて、学校に向けて家庭を離れることが不可 能となっていると考えられる(小林、1980)
・ 従来は、不登校行動によって(たとえば、不登校児が家にいることによって)、学校または登校刺激によって引き起こされた不安や恐
怖が少なくなっていることが問題となっていた。
回避行動モデルとしての不登校
・・・・伝統的には不安反応としての小児恐怖症の一型としての「学校恐怖症」と対応
初期においては、不安によって誘発された症状に対しては・・・単純な症状除去モデルを使用
不安症状をなくすことだけに焦点を当てた
・ その後は、この不安・恐怖症状の程度によって技法が選択された。
不安が顕著な事例の場合
・ フラッディング法に含まれる強制法(1971)
・ 逆制止法に含まれる系統的脱感作法(1974)や主張反応法(1976)
・ 主張反応法と系統的脱感法の併用(1977)
・ 弛緩心像法(1970)
不安が顕著でない場合
・ オベラント条件づけ法による継時近接法(1972)
しかし、これらの不安・恐怖の低減にのみ焦点を当てた不登校への対応は、不登校状態が長期化した事例には有効ではなかった。
・ 長期の不登校により二次的に生じた学習問題、体力の問題への指導なども加えた総合アプローチが開発され成果を上げた。(1980)
・ 1980年代以降、不安・恐怖感が言語応答や客観的尺度に現れないタイプの不登校が増加(1985,1986)
・・・これらは、いわゆる典型的な神経症発現メカニズムとは異なるタイプの不登校
・・・これらは、不安や恐怖反応ではなく無気力、学業不振、退学傾向などが不登校のきっかけや原因
(1989)
【典型例として】
集団学習についていけない
→ 学習への参加が不可能に
→ 学校を避ける
→ 家庭に閉じこもり
→ 好みの番組の鑑賞、テレビゲーム
→ 家でゴロゴロ
嫌な場面を避けることと、家にいることが積極的にプラスの刺激を受けることと結びつくことによって慢性化へと進む
・ さまざまなタイプの不登校があり、再登校支援を実施するためには、一つの症状、不登校形成メカニズムの解明だけでは、不十分
・ 事例ごとに「なぜ、不登校になったのか」「なぜ、不登校の状態が継続しているのか」を明らかにして、個別支援計画を決定していくこと が必要
・ 「不登校状態を形成しそれを維持している条件を明らかにし、再登校行動のシェーピングにあたって必要とされる情報を収集すること」 を行動アセスメントという。
シェーピングとは、目標行動を形成するための手続きで、登校するという標的行動に近い反応から徐々に行動を形成して、最終的に登 校行動を形成していく。
(3)第4章不登校ゼロのための8か条
第1か条 不登校ゼロとするための目標は、予防、再登校支援、再発防止の3つとするべし
第2か条 学校場面に子どもが有能感を感じる、プラスの場面を多く作るべし
第3か条 子どもの状況をアセスメントして、ダイヤグラムをもとに子どもと相談しながら育むべし
第4か条 子どもの教育責任者として父親の意見を尊重するべし
第5か条 子どもをきちんと休ませるべし
第6か条 子どもの欠席の仕方に注目して、不自然な休み方の場合、すぐに原因を解明して子どもを支援すべし
第7か条 再登校支援は、個別支援計画をもとに子どもを褒めながら6つのステップを踏んで育むべし
第8か条 不登校を再発させないためには、将来の夢をもたせ子どもにとっての学校場面を活性化させるべし
(4)あとがき
不登校児への対応に何が必要か
・・・それは、子どもが夢をもちながらいろいろなことに正面から向かっていけるようにいろいろなことを身につけること、育むことである
現在、結果として不登校ゼロといった実際に成果を上げているのは、子どもと保護者の方の意志確認のステップを含めて6段階を踏みながらその子どもを「育む」ことを基本にした支援です。
現在のままでは日本という国自体が、危険な状態になっていく。
全国の公立小・中学校における不登校数は、本年度の学校基本調査においては約12万1000人
前年度の全児童生徒数に占める不登校の割合は、約0.02パーセントしか減少していない
不登校と関連が深いといわれているニートと呼称される人の数は約82万人
フリーターも約400万人
・・・このような状態の継続、少子化による労働人口の減少 → 「日本は滅びる」
対策としては、2つある。
・ 教育制度を現状に合わせ、かつ社会保障制度などと関連づけるなどして国の制度を本質的に変えるか
・ 社会制度はそのままで不登校、ニート、フリーター問題を解決するか
本書は、不登校問題を解決する方法を「不登校ゼロ」という成果から示している。
(つまり、後者の立場に立っている)
5.「教師のための不登校サポートマニュアル」(不登校ゼロへの挑戦)
小林正幸/小野昌彦 共著
目 次
はじめに
T 不登校についての基本的なとらえ方・考え方
1 不登校はどのようにして起きるのか
1) 不登校問題の解消の主人公としての教師
2) 不登校―― 「学校が嫌」だから起きる問題
3) 不登校の原因を知る意義
4) 不登校になる子どもは、学校のどこが嫌なのか
5) 内省力がない教師たち
2 早期発見・早期対応の重要性
1) 一次予防と二次予防
@ 不登校問題の一次予防
A 不登校の二次予防)
2) 二次予防から始める
3 早期発見・早期対応の実際
1) 欠席に敏感に動く
2) ストレス反応への気づきと対応
@ ストレス反応に気付く
A 身体症状
B 不安・緊張
C 攻撃・怒り
D 無気力・憂鬱―褒める機会をつくる
3) ストレスの元にはたらきかけ、見方を増やす
@ ストレスの元にはたらきかける
A 子どもに「味方」と思ってもらえる教師になる
B すべての子どもをえこひいきする
C 子どもを支える人を増やす
U 熊谷市での不登校半減計画への取り組み
1 取り組みに至る経緯、実際の取り組みについての概要
1) 不登校半減計画
@ 埼玉県熊谷市について
A なぜ、半減なのか
B なぜ、3年間なのか
2) 不登校半減計画の始まり
@ 熊谷市との出会い
A 熊谷市不登校半減計画のスタート
B 筆者の本格的な熊谷市支援の開始
2 熊谷市での不登校対策
1) 対応策の概要
2) 月3日以上の欠席の把握
3) 個別支援票による管理カルテと紙上コンサルテーション
@ 個別支援票(個票)によるカルテ管理
A 個別支援票(個票)に隠された本当の目的
4) 個票の所見による紙上コンサルテーションの実際
@ 病欠の場合
A 緊張や不安が見られる場合
B 非行・怠けがある場合
C 不登校が長期化している場合
D 病院やクリニックなどの専門機関がかかわっている場合
5) 熊谷市半減計画の2年目までの成果
@ 1年目「月3日以上の欠席管理」の効果
A 2年目「個票による紙上コンサルテーション」の成果
3 熊谷市での不登校予防と半減計画の終結に向けて
1) 不登校問題予防のための2つの予防策
2) 小中連携申し送り個票の活用と個を見ること
3) 不登校半減計画終了に向けて
4) 「行きたくなる学校」をめざして
V A町での不登校減少プロジェクト
−発生率ワーストワンから不登校ゼロへの軌跡−
1 不登校減少プロジェクト開始の経緯と趣旨
1)プロジェクト開始の背景
2 不登校減少プロジェクトの取り組みについて
1) 不登校減少プロジェクトの目的
2) 不登校減少プロジェクトの方法
@ プロジェクトチーム
A 方法
3)不登校減少プロジェクトの特徴
3 プロジェクトの途中結果とそれまでの経過
1) 不登校プロジェクトの途中経過結果
2) 不登校減少プロジェクトの経過
@ 第1期:再登校支援準備期
A 第2期:教室登校および登校維持成功モデル学習期
B 第3期:A町流教室登校および登校維持支援構築期
C 第4期教師によるA町流不登校対策実施期)
3) 学校復帰支援の実際
@ 手続きの実際
A 校内研修会の実際
B 初めての再登校支援成功事例
4 なぜ、A町は1年足らずで不登校ゼロとなったか
1) 不登校多発原因について
2) 不登校多発問題解決をめぐって
@ A町の不登校問題解決のためのパターン
A 不登校問題解消のための教師の役割
B 教育委員会、校長、教師の役割
C 真のプロジェクトの開始
D 再登校支援成功教師からのネットワークの形成
E 子どもの視点からの教師たちの主体的な対策提案
F 子どもと教師が共に育っての好相互作用
W不登校問題解決に向けて
1 不登校対策の町レベルの体制について −ワンユニット方式の提案−
1) 教育委員会の役割り
@ 再登校支援・再発防止に関する体制をめぐって
A 不登校発生予防に関する体制をめぐって
2 不登校対策における学校体制について
1) 学校長・教頭の役割
@ プロジェクト1年目のH校長先生の不登校対策
A プロジェクト2年目のY校長先生の不登校対策
B 教頭先生の役割
2) 学校管理職の役割
3) 教師の役割
@ 予防
A 再登校支援
B 再発防止
4) 養護教諭の役割
@ 予防
A 再登校支援
B 再発防止
5) 適応指導教室指導員の役割
6) 教師の努力を実りあるものとするために
あとがき
新潟市教育委員会学校指導課
不登校克服のために! 不登校未然防止中学校区プロジェクトに取り組んでいます。
Q1:新潟市における不登校の現状はどうなっていますか?
A1:心配な状態が続いています。
平成16年度,不登校児童生徒数は前年度に比べ1.7倍に増加しました。これは市町村合併によ
り学校数が大幅に増えたことによるもので,予想された結果です。しかし,不登校発生率で見て
みると,全国,県に比べ小・中学校ともに高い発生率が続いています。
また,中学校入学校後不登校数が急増する,いわゆる「中1ギャップ」の現象も見られます。
<新潟市における不登校の現状(ファイル 1)>
Q2:新潟市における不登校対応の取組はどうなっていますか?
A2:不登校児童生徒の個々の状態に応じて多様な取組を行っています。
新潟市においては不登校児童生徒の状況に応じて,多様な取組が行なわれてきました。
例えば,
家に引きこもり外に出られない児童生徒には → 訪問相談員による教育相談
家の外には出られるが、学校へは行けない児童生徒には → 適応指導教室での支援
学校には行けるが、教室荷は入れない児童生徒には → 校内適応指導教室等での支援
このほかにも,市教育相談センターの相談担当指導主事や各支所教育事務所に配置した教育相談
員による本人,保護者へのカウンセリングを行う体制も整え,多くの子どもたち,保護者から活
用されています。また,各学校にはスクールカウンセラー等を配置し,校内教育相談体制の充実
も図ってきました。
Q3:様々な不登校対応の取組が行われていますが,さらに不登校未然防止プロジェクトに取り組むの
はなぜですか?
A3:不登校予防の取組が必要です。
不登校児童生徒一人一人に対する学校,教育関係機関における親身の支援によって,多くの子ど
もたちが学校,学級復帰を果たしています。
反面,毎年度230人前後の子どもたちが新たに不登校になっています。
そのため,全体の不登校児童生徒数,発生率が改善しないという現状になっています。
そこで,不登校傾向のサインをいち早くつかみ,早期に対応する不登校予防の取組を始める必要
があります。それが,不登校未然防止中学校区プロジェクトです。
Q4:不登校プロジェクトでどんなことをするのですか?
A4:主な取組の内容は,2つです。
(1)きめ細かに子どもを見守る校内体制の確立と教育委員会の支援体制の整備
*各学校では
月3日の欠席を目安にした欠席状況の把握から、子ども達の状態をきめ細かに見守り早期に対応する校内体制を築く
○ 欠席状況から子どもの心の状態を読み取る
○ 不登校の兆しをつかむ
○ 不登校傾向への即時的、具体的な対応策の実施
*教育委員会は
各校の不登校傾向の子どもへの対応策への支援
○ 不登校傾向、不登校対応のノウハウの提供
○ 教育相談機関への連絡、調整
<不登校プロジェクト校内体制イメージ図(ファイル2)>
(2)小・中連携しての中1ギャップ解消のための不登校予防
<小・中連携イメージ図(ファイル 3)>
7.教師のための不登校サポートマニュアル
第1章 不登校についての基本的なとらえ方・考え方
(不登校ゼロへの挑戦) 小林正幸/小野雅彦 著
はじめに
学校の先生が、不登校問題を解決していくための方法や手筋を示すのが目的
最新の心理学の科学的な理論に基づいている
不登校問題が減少した実例を示す
市単位で不登校の児童生徒の半減をめざした実践
町単位で不登校をゼロにした実践
実践の主人公は教師、教師たちが力を合わせれば、不登校は確実に減る
「子どもの教育を受ける権利を守りたい」その願いを実現するための実践
T.不登校についての基本的なとらえ方・考え方
1 不登校はどのようにして起きるのか
1)不登校問題解消の主人公としての教師
臨床心理の専門家が、教師に、子どもを視る専門的なものの見方、方法を伝える
教育委員会や教師(指導主事や校長や教師)がその見方、考え方を知り、実践に移す
2)不登校――「学校が嫌」だから起きる問題
子どもにとって嫌な場所、つまり学校を避けることで不登校が始まる
子どもに、「学校を心地よい場だ」と感じさせることができる大人は、教師しかいない
教師に一番強く願うことは、本格的な不登校問題の解決ではなく、不登校を未然に防ぐこと
3)不登校の原因を知る意義
問題の原因や問題形成メカニズムを追求する目的は、問題予防に生かすため
問題が本格化した段階では、問題の原因とは関連性のない新しい次元の問題になることが多い
4)不登校になる子どもは、学校のどこが嫌なのか
不登校のきっかけ
不登校経験者・・・その多くは学校環境にある
友だちとの人間関係(45%) 学業への適応(27.6%) 教師との関係(20.8%)
5)内省力のない教師たち
教師のとらえ方
教師との関係(1.7%)本人の問題は、第1位で23.2%
教師は我が身が不登校のきっかけを作り出していることに、気づきにくいのかも
2 早期発見・早期対応の重要性
1)一次予防と二次予防
@不登校問題の一次予防
一次予防・・・問題を起きにくくする段階
第1は、児童生徒間の人間関係に目を向け、子どもたち同士の人間関係が円滑に進むよう配慮
第2は、子どもの学業への適用を援助すること
第3は、教師との関係、良好な師弟関係をつくり、それを保つこと
A不登校問題の二次予防
二次予防・・・早期発見・早期対応
欠席に敏感になること
子どもの示す心理的な不調とその兆候
不安や緊張、怒りの感情、身体面での変調、無気力な振る舞いなど
2)二次予防から始める
一次予防は、普段の教育活動そのもの 不登校を減少させたいのなら、二次予防から
欠席に敏感に。月に数日の欠席の増加がみられた段階で適切な手立てを(新しい発生2割は抑制)
3 早期発見・早期対応の実際
1)欠席に敏感に動く
毎回の欠席で・・・・・健康調査 欠席が増えたとき・・・声かけ
病欠の場合には病名を、それ以外の場合も、欠席理由を明確にする
病欠と思われる中に、不登校の兆候が含まれる
教師から声かけ・・・教師との関係が悪くさえなければ、学校にひきつけるようにはたらく
2)ストレス反応への気づきと対応
@ストレス反応に気づく
欠席以外の不登校の兆候・・・ストレス反応
身体症状、不安・緊張、攻撃・怒り、無気力・憂鬱 過去に比べての比較
A身体症状
*1 ストレスと関連しやすい身体症状
年齢が低いほど身体症状は出やすい
頭痛・腹痛、下痢・便秘、咳、疲れ・だるさ、脱毛、食欲不振、睡眠障害など
歩けない、呼吸停止、目が見えない、耳が聞こえない、高熱などもある
身体症状を悪化させるもの
喘息、皮膚炎、
チックや指しゃぶり、爪かみ、脱毛など体の一部をさわる癖(身体玩弄癖)
*2 身体症状への対応――体を適切に心配する
身体症状は、その子どもの表現 身体が「これ以上無理をするな」と言っている
身体表現に寄り添い、身体を心配します
・・・遅刻、早退、保健室で休憩・・・身体を適宜休むよう進める
・・・保健室の利用・・・養護教諭との連携
*3 身体症状への対応2――不快な感情表現を促す
子ども自身が自分の気持ち、喜怒哀楽を表現できるように手伝う
気持ちを表現できるようになると、ストレス反応による身体症状なら快方に向かう
感情表現の苦手な子どもの場合
・・・子どもの表情を見ながら・・・子どもに代わって教師が表現
・・・子ども自身が自分の気持ちに目を向けるのを手伝う
感情に、よい感情や悪い感情はない・・・・感情は文化の源
その感情をしっかりと感じ取ることが大事
身体症状は、感情表現が滞った結果起きる
・・・感情、特に辛い感情を表現できるように手伝う
B不安・緊張
*1 不安・緊張に気がつく
不安・緊張・・・・不登校を示す子どもの中核に位置する感情
身体症状は、不安や緊張と関連
「心配そうな顔」がサイン・・・本当に嫌な場や他人の目の前では見せない場合が少なくない
*2 不安・緊張への対応―寄り添って、受け入れる
不安・緊張には安心感、安全感を与えるのが原則
C攻撃・怒り
*1 攻撃・怒りの見分け方
*2 攻撃・怒りへの対応―怒りの背後の願いを読み取ってかかわる
怒りの感情を認め、それを「願い」として読みかえること
D無気力・憂鬱―褒める機会をつくる
*1 無気力・憂鬱とは、やる気、元気がないのは強い劣等感と憂鬱な気分があるから
*2 無気力・憂鬱への対応―認める・褒める・成功体験を重ねる
わずかな変化も進歩としてとらえ言葉に表す
3)ストレスの元にはたらきかけ、味方を増やす
@ストレスの元にはたらきかける
*1 ストレスの元になっている辛い体験、ストレスの元を探す
人間関係、学業適応などにも目を配る → 関係の改善に着手(直接的、間接的に)
ソーシャル・スキル教育、構成的グループ・エンカウンター、ピア・サポート・プログラム等
*2 個別に関わるときに大事なこと
・先生の心配を伝えること
・子ども自身の心理的な支えになりたいことを伝えること
・子どもの心情に寄り添うこと
A子どもに「味方」と思ってもらえる教師になる
*1 教師が大事にしたいのは、心情的に子どもの味方になること
→ それを通して、子ども自身が、教師を「自分の味方だ」と感じられること
・子ども自身が、「先生は、私が元気がないと、すぐに気づいて励ましてくれる」と感じているか
・子どもは、「先生は、私が悩みや不満を言っても、嫌な顔をしないで聞いてくれる」と感じているか
・子どもは、「先生は私が失敗しても、そっと助けてくれる」と感じているか
・子どもは、「先生は普段から私の気持ちをよくわかってくれる」と感じているか
・子どもは、「私が悩んでいるときに、どうしたらよいか教えてくれる」と感じているか
*2 このような気持ちを持っている子どもほど、ストレスがかかっても、ストレス反応を示しません
Bすべての子どもをえこひいきする
*1 特に人間関係のトラブルでは、被害者意識を抱いている子どもの味方になります
被害を受けたと感じている心に、辛さに寄り添うのです
*2 それぞれ個々の子どものその瞬間の心情に寄り添う
C子どもを支える人を増やす
*1 仲間関係が子どもを支える
普段から、学級全体が支え合う雰囲気を学級に作り上げるようにする
*2 保護者を支える
保護者が子どもの第一の支え手になれるように、保護者を側面で支える