京都市教委の不登校問題研修
          (2006.5.16)


京都新聞(5月16日朝刊)によると、京都市教委が、不登校問題研修を始めるそうです。
えっ、なにを今さら、という感じですが、やらないよりは、やった方がいいかなと思います。
しかし、夏休み中に1講座を受講する程度のことで、果たして効果はあるのでしょうか。

京都市は、これまで、
1.スクールカウンセラーの派遣     99校(小学校10,中学校80,高等学校9)<17年度>
2.子どもと親の相談員の派遣     小学校8校
3.生徒指導推進協力員の派遣     2中学校区の8小学校
4.学びのパートナーの派遣       48校(小学校14,中学校34)
5.ハートケア・ボランティアの派遣   登録ボランティア34名
6.不登校問題フォーラムの開催
7.『子どもの心の成長と親のかかわり』の配布
8.教職員研修
などを行ってきました。さらに、2004年からは洛風中学校を開設し、不登校生徒、不登校傾向にある生徒の受け入れを実施しています。

これをもって、京都市教委は、 「不登校状態にある子への支援や相談体制は整った」としています。(生徒指導課)

では、なぜ、今、不登校問題での教職員の全員を対象とした研修なのでしょうか。

京都市における不登校の児童生徒の数は、2004年度で小学生269人、中学生945人でした。2001年から連続で減少傾向にあるそうです。(これは、私学を除く公立学校のみの統計か?〉
しかし、文部科学省の学校基本調査で見る京都市の不登校の児童生徒の数は、2001年度は、小学生283人〈0.39%)、中学生1141人〈2.7%)です。そして、2004年度は、小学生274人(0.38%)、中学生1011人〈02.6%〉です。確かに、減少傾向にありますが、小学生で、0.01%、中学生で0.1%の微減です。不登校問題が解決の方向へ大きく進み出したとは到底言えるものではありません。

上記の京都市教委の取り組みは、不登校の子ども達への対策ではあっても、不登校問題を解決する為の手立てにはなりえなかったことを物語っています。

京都市教委は、「未然に不登校を防ぐ取り組みや、学校に戻った子が再び不登校にならない対策については、学校間に温度差があるのが現状」といいます。
あたかも、不登校を防ぐのは、学校や先生たちの熱意の問題であるかのようです。 
そして、不登校を未然に防ぐ為に、打ち出したのが、今年度の全員研修だということです。
「不登校問題に取り組む意識を再認識」する為に、全教員を対象とした研修を行うというものです。

「子どもたちの心のサインを見抜いたり、悩みを抱えた子への声のかけ方などを学ぶ」のだそうです。

あれ?ちょっと立ち止まってみましょう。 

不登校が社会問題化した頃は、親の問題、子ども自身の問題とされました。
いろいろな対策を講じてみたが、効果が上がりませんでした。
そこで、今度は、先生の熱意の問題とするのでしょうか。

不登校を生み出している要因として、学校の変化が指摘されています。
国連子どもの権利委員会は、わが国の教育制度を、過度の競争主義的な教育ととらえ、その是正を勧告しています。

京都市では、特定の学区を小中一貫校や中高一貫校などとし優遇したり、大学進学率を優先した高校改革をすすめたり、また、私大附属小学校が開設されたり、まさに、教育における競争が激化しています。その一方で、生徒の自主活動や自治活動は制限されてきました。

不登校問題の根本的な解決をめざすならば、大本の教育のあり方や教育環境、教育条件をこそ考え直さなければならないのではないでしょうか。

確かに、先生と生徒の関係が良くなることで、不登校にならなくてもすむ子ども達がいることも事実ですが、
先生の気持ちのあり方だけに目を向けるのは、不登校問題の解決にはならないのではないでしょうか。


〈京都新聞の記事〉

 京都市教委は、不登校傾向の児童や生徒への支援充実を目指し、市立学校の全教員と常勤講師を対象とした不登校問題研修を始める。これまで生徒指導担当など一部の教員だけだった研修対象を全員に広げ、不登校対策の学校間や教員間の格差解消を図るという。
 市教委によると、年間30日以上学校を欠席した不登校の児童・生徒の数は、2004年度で小学生269人、中学生945人で、01年以降は減少傾向にある。 
 「不登校状態にある子への支援や相談体制は整った」(生徒指導課)とするが、未然に不登校を防ぐ取り組みや、学校に戻った子が再び不登校にならない対策については、学校間に温度差があるのが現状という。 
 学校ごとに設けている「不登校対策委員会」など教員組織の形骸(けいがい)化を防ぎ、全教員で不登校問題に取り組む意識を再認識してもらおうと全員研修を計画した。
 研修では、京都大教育学研究科の藤原勝紀教授ら教育心理の専門家を招き、夏休み中に6日間に分けて講座を開講。常勤講師も含めた全教員約6500人に必ず一講座の受講を義務づけ、子どもたちの心のサインを見抜いたり、悩みを抱えた子への声のかけ方などを学んでもらう。 
 市教委生徒指導課は「学校に来させるのがすべてではないが、不登校の背景には子どもたちのさまざまな悩みや課題がある。研修を各校の実情にあった指導に生かしてほしい」としている。