京都府教育委員会の不登校対策を考える
               2006.2.07


京都府教育委員会は、2006年度から「心の居場所サポーター」を府内48の小中学校に配置することを決めました。「学校に登校できるが教室に入りにくい児童生徒に対し、相談室等で相談・学習支援を行うための心の居場所サポーターを配置し、不登校の未然防止と早期解決を図る」ことを目的としています。

そのための費用として、2000万円が計上され、小学校28校、中学校20校に、週12時間程度、年間35週程度配置されるそうです。

2006年度、京都府における不登校の児童生徒は、小学校において576人、中学校では、2042人、合わせて2618人です。

2月3日の京都新聞の記事によれば、不登校の児童生徒のうち、学校には登校できるが教室に入りにくい小学生は、87.4%、中学生は、79.3%だそうです。サポーターは、小学校では京都市に8校、府下市町村に20校。中学校では京都市に3校、府下市町村に17校に配置されるそうです。サポーターには、教員を志望する学生や退職教員を当てるそうです。
ちなみに、小学生の不登校児童の87.4%は、約500人です。中学生の79.3%は約1600人です。

今日でも、教職員の工夫によって、児童生徒の別室登校を保障し、支援していく対応をしている学校が存在します。しかし、内実は、教職員の空き時間を融通しあって支援の体制を組んでいるのがほとんどであって、いわば教職員の良心に依拠したものでありました。
今回、わずか48校に、しかも週12時間程度の配置であっても、不登校の子ども達を支えていくことになることを切に望むものです。

さて、ここで、京都府の不登校への対応を整理してみましょう。
京都府教育委員会は、「心のサポート推進事業」として、次のようなことを行っています。
@スクールカウンセラーの配置  2006年度は中学校208校中74校、高校55校中15校に配置予定。
A教育相談員の設置
Bふれあい宿泊学習
Cスクーリングサポートネットワークの整備事業
D不登校に関するネットワーク交流会
E民間施設連携支援事業
F不登校児童生徒へのIT等活用家庭学習支援事業
G長期欠席者特別入学者選抜
そして、今回の
H心の居場所サポーターの配置です。

2006年度の「心のサポート推進事業の総費用は、2億3681万4千円に上ります。不登校の児童生徒一人あたり約9万円ですが、不登校児童生徒のみにかかわる事業では、一人あたり1万9千円です。

ここに見られるように、不登校問題への対症療法的施策がほとんどです。今回の不登校の未然防止のためのサポーター配置にしても、教室へ入ることのできない児童や生徒への対応ですから、府教委のいう未然防止とは、完全に学校へこれなくなることを防止することであって、不登校を出さないための施策ではないことは、明らかです。

また、府教委の統計によれば、全く学校に行く子とのできない不登校の児童生徒は、小学生で約100人、中学生で約400人いることになります。民間の支援施設に通う子は、新聞報道などによると10人前後といいますから、約500人の子ども達への支援は施策としては明示されていません。(敢えて拾い上げるならば、BとEFでしょうが、)
これらの子ども達への対応は、担任の先生を中心に行われているようですが、担任によって対応がまちまちなのは公然の事実です。担任の不登校への理解の程度で対応が全く異なっています。不登校への対応では、欠如している、全く学校に行っていない子らへの対応をこそ望まれるのではないでしょうか。


さらに、不登校になった子らへの支援は、当然に必要ですが、府教委の施策には、不登校問題をどのようにとらえるかという根本的な理解が欠如しているのではないでしょうか。不登校がなぜ生まれるのかの検証なしに、いくら対応を行ったとしても、不登校をなくすることにはつながらないでしょう。このことは、文部科学省における「不登校問題調査研究協力者会議」の報告の中で「新しい学力観」に基づく「ゆとり教育」・「教育改革」を推進すれば不登校をなくすることができると、したことが如何に絵空事であったかを見れば明らかです。一方で、過度の競争主義的な教育政策を推し進めながら、その結果として生み出されている不登校問題を対症療法によって解決することは到底不可能だと思うのですがどうでしょう。

学校のあり方、教育のあり方を根本的に見直し、すべての子ども達がのびのびと。生き生きと登校できる学校を目指すべきではないでしょうか。