文科省学校基本調査速報の不登校数3年連続減を考える 2005.8.22
文部科学省は、8月10日、2005年度学校基本調査速報を発表しました。
それによりますと、2004年度、一年間の不登校の数は、小学生2万3310人、中学生10万7人、合わせて12万3317人を数えます。
これは、前年度に比べて、小学生767人、中学生2142人、合計2909人の減少なのだそうです。
文部科学省は、これを、「適応指導教室の充実などさまざまな施策の効果だと思うが、依然として12万人台に上っており、深刻な教育問題だ。」とし、減少傾向とまでは言えないと理解しているようです。一方、国立教育政策研究所の総括研究官は増加傾向には歯止めはかかった」とし、「今後は、事後対応だけでなく未然防止が重要だ」と言います。そして、未然防止の方策として「補習で学習の遅れをなくすことなども予防につながる」と話しています。(参考、文部科学省の学校基本調査速報と新聞報道)
文部科学省は、2001年に不登校者数が13万9000人を数えて以降、「不登校問題に関する調査研究協力者会議」を設け、不登校問題の調査と手だてを考え、取り組んできました。
その主な施策は、適応指導教室の充実や支援施設のネットワーク作りでした。また、中学校を中心にスクールカウンセラーの配置なども行ってきました。そして、各都道府県、市町村に委嘱し、「スクーリング・サポート・ネットワ−ク整備事業」を推進してきました。そして、2005年月末、不登校の全国フォーラムを開催し、それらの事業の普及に努めてきました。
その結果が、3年連続の不登校児童生徒の減少でしたが、しかし、これらの成果は、当初期待したものとは大きくかけ離れていたことは、先の文科省幹部の発言に見られるとおりです。
文科省の施策には、適応指導教室やスクールカウンセラーの配置に見られるように、不登校があたかも個人の問題から生じているかのように理解している傾向があります。それは、未然防止の方途として補習を挙げていることにも見られます。
ここに、文科省の施策の限界があります。「不登校問題に関する調査研究協力者会議」は、不登校を、今日、誰もがなりうる問題だととらえながらも、学校教育制度には、問題はないとの姿勢をとってきました。むしろ、「ゆとり教育」を目指す学習指導要領の実施こそが不登校問題を解決していくだろうとの見通しを述べていました。そして、全国各地で、不登校克服の数値目標を掲げさへすれば、不登校を減らすことができるというような誤った取り組みを生み出してしまいました。
確かに、不登校の子ども達の中には、家庭訪問や連絡を取り合うことを通して、その子に寄り添い、信頼関係を築く中で、再び教室に戻ることのできる子どもたちも多くいます。
しかし、今回の速報でも明らかになっているように、見方を変えれば、不登校になる契機は、「学習や進路」といった、学校教育制度や学習指導要領と密接に関係するものであり、「不安や無気力」といった育ちや発達の環境に関係するものであります。
今日の教育制度、教育政策の問題点を改善していく視点がなければ、不登校という教育課題の克服はできないでしょう。
不登校の子ども達の多くは、学校に行かなくても成長し、社会的自立を遂げていっています。学校は、不要な存在から脱却し、子ども達の発達成長を保障するという本来の役割を担うべきではないでしょうか。