全国不登校フォーラムから見えたこと
2005年2月28日(月)、文部科学省主催の不登校フォーラムが開かれました。全国から教育委員会、学校、フリースクール関係者や保護者などが参加しました。
フォーラムは、挨拶、講演、実践報告、パネルディスカッションの順に進行して行きました。
調査協力者会議の報告から2年と銘打って開かれたにもかかわらず、2年間の中間総括的な事柄はなされず、こ の2年間、文部科学省が展開してきた「スクーリング・サポート・ ネットワーク(SSN)整備事業」の報告会のようでし た。その内容を順次見てみましょう。
まずは、挨拶です。文部科学副大臣塩谷氏と文部科学省初等中等局児童生徒課長坪田氏が挨拶に立った。二 人の挨拶は、ほぼ同じ内容でした。その特徴点は、
1.報告から2年間不登校の児童生徒数が減少傾向にあること、SSN事業の整備が功を奏してきたことを積極的 に評価したこと。
2.しかし、まだ、相当数の不登校の児童生徒が存在することの指摘したこと。
3.新たな課題として、遊び、非行型の不登校と家庭の問題が背景にある不登校の増加に懸念を示したことです。
この挨拶が、文部科学省が示した報告以後2年間の総括的な内容です。簡単な中に、重要な問題をはらんでい ます。この点は、別項で考えていきます。
基調講演は、精神科医であり、調査研究協力者会議の委員であった斉藤環氏が行いました。内容は、基調とい うよりは、個人的な見解を述べたものでした。それは、本人も、「な ぜこのフォ−ラムの基調講演が、精神科医の私 が行うのかためらいを覚える」と述べたとおりです。講演の内容を大まかに把握すると次のようでした。
1.筑波大学のイナムラ研究所の実践の誤りと反省(ただし、自分はかかわりはない)。
2.不登校の数の減少は、画期的な変化と評価したこと。
3.精神科医の中に、思春期、青年期の専門家はいない。立ち遅れを指摘。
4.不登校のタイプや型による分類は先入観をもたらすので有害であり、必要性がない。
5.いじめと不登校の関連は重要であり、きちんと対応しなければならない。
6.寝屋川中央小の事件において、少年が「いじめがあった。」と述べていることについて、警察は、調査の中でいじ めがあったとは認められないとしているが、いじめられたかは 本人の 主観にかかわることだから、本人の視点か ら考える必要があること、合わせて、透明感のあるいじめが広がっていることに注意を喚起。
7.不登校と引きこもりとの関連、高校生退学や不登校、青年のニートと関連付けが必要。不登校は、関係性の問題 であり、それを個の問題とするのは間違い。すぐにカウンセリン グを 進めるのは問題。
など精神科医の観点からの話でした。
実践報告は、仙台市におけるSSN整備事業の取り組みの報告と東京都の民間団体の取り組みの報告でした。
仙台市の取り組みは、SSN事業の先進を行くもので、施設や設備、人員の面でも充実したものでした。また、大学 や民間団体、ボランティア等とのネットワーク作りも大掛かりなも のでした。大都市ならではの取り組みといえるの かもしれません。しかし、仙台市には、1000人を超える不登校の子どもたちがいるにもかかわらず、その利用者や 関係を持て る子どもは15%だそうです。不登校の子らへもかかわりの難しさを教えているように思えます。物の充 実だけでは、不登校の子らへの対応はできないと。
東京の民間団体は登校拒否文化医学研究所というところで、不登校の子らへのかかわりをはじめて32年の歴史 を持つ団体です。スリースクールや親の会を広範な地域で行っ ているそうです。カウンセラーやメンタルフレンドなど の人材も多数育てているようで、これもまた、大掛かりな施設です。子どもの話はあまり出ませんでした。お金持ち でなければ 参加できないような雰囲気がありました。
パネルディスカッションは、学校カウンセラー、小学校長、青少年育成団体の代表の3氏がパネラーで、調査協力 者会議のメンバーの大学教授が司会でした。大味な構成で、そ れぞれがそれぞれの立場での取り組みを時間をか けて話されました。3本の別々の講演を聴いているようでした。
学校カウンセラーは、不登校の子らへの関わり方は、関わりながら学び見つけるものだといわれたことが印象的 でした。
小学校長の話は、学校現場の愚痴が多かったけれども、何もかもお膳立てされた活動が、さも体験学習だとして 行われていることへの批判は適当だったと感じました。
青少年育成団体の代表は、民間フリースクールの現状について報告されましたが、印象的だったのは、低所得 者の子どもたちが多くなって、経営的に成り立たなくなってフリー スクールを廃業するところが増えているという点で した。
話し合いの中で、心因的な不登校と非行型の不登校は相容れない、フリースクールも別立てがよい、というような 考えが出だされました。
このフォーラムを通して、明らかになってのは、
1.不登校の数は、2年連続して減少したことを、主催者は評価していること。
2.遊び、非行型不登校の増加
3.家庭に問題のある不登校の増加
4.不登校支援のためSSN整備事業を行っていること。
この中には、民間団体のネットワーク作りや関係機関との連携も積極的に行われていること。
などです。