首相の所信表明演説・・・「教育改革」のねらい
                        2006.2.09


1月20日開会した通常国会における小泉首相の所信表明演説には、教育政策について触れた部分がありました。短い文言ながら、今日小泉政権が推し進めている「教育改革」の特徴が端的に表されていました。

「教育現場の創意工夫を促すとともに、習熟度別の指導、学校の外部評価、保護者や地域住民の学校運営への参画、学校選択制の普及を通じて、教育の質の向上を図ります。」

ここに述べられた、習熟度別指導、学校評価制度、学校選択制、学校評議員制は、すでに教育現場では実施に移されています。簡単にその実情を見ておきましょう。

(1)習熟度別の指導
    一人ひとりの能力に合わせて学習し力を伸ばしていくことを名目としています。しかし、その実情は、子ども達を学力や能力によって分類し、学習内容にまで差を設けています。
    同じクラスでありながら、算数になると、よくできる子のグループ、できない子のグループなどに分かれて学習することになります。また、教科書もそれに合わせて、発展的学習の
    欄さへ設けられています。学力のみで人間を評価する行為が平然と学校の中に持ち込まれたのです。教育的営為とは、全く無縁のものといえるのではないでしょうか。
(2)学校評価制度
    これは、特色ある学校作りを押しすすめるための自己評価制度です。学校同士の間で特色を競い合わせるためのものにほかなりません。これは、京都府においては、府教委が 
    実施している学力テストを通してみると、この制度の特徴が詳らかになります。学力テストの結果が悪かった学校は、教育局に呼び出され、学力作りの計画書を作成させられま
    す。ですから、どの学校も、学力テストを意識した対策(授業時間以外の学習など)をとっています。信じられないことですが、学力テストの予備テスト(同じ問題を使って)をしてい
    るところもあったと聞いています。高校では、学科やコースによる特色作り競争が激しくなっています。地域に根ざした、地域の特色を生かした学校作りであるといいのですが、
    実態は違うようです。
(3)学校選択制
    東京都の品川区における学校選択制は有名ですが、京都府でも向日市や長岡京市で実施されています。今のところ、学区の境界線付近の子ども達がこの選択制を利用して通
    いやすい学校を選んでいるそうです。しかし、東京都においては、学校によって入学児童生徒の人数がはっきりと違っているそうです。(2)の学校評価制度と合わせて考えてみ
    ると、この制度のねらいがはっきりとしてきます。親や子どもの学校を選ぶ自由などと主張されていましたが、よりよい学校教育をという親の要求を逆手に取って学校間競争をあ
    おるものです。今日、お嬢ちゃん・お坊ちゃん学校のほかに、株式会社の学校や有名私立大学の付属小学校ができ、金持ちや富裕層は、難なく学校選択をしています。学校選
    択制は、中高一貫校の設置と合わせて、親同士の、延いては子供同士の競争を煽るものに外なりません。
(4)学校評議員制度
    父母や地域住民の学校運営への参加は、むしろ望ましいものですが、決定的にかけているのは、子ども達の学校運営への参加の思想です。長野県などにおいては、教職員、地
    域住民、父母に合わせて、生徒の参加を実現し、三者協議会を開いている学校もあります。そこでは、学校と地域の共同の取り組みが始まっています。学校の主人公は子ども
    ですから、子どもの声を反映させない評議員制度は監視の役割しか果たせないのではないでしょうか。

このように、小泉政権の下で推し進められている「教育改革」は、子ども達を競争に追い込み、親をも競争させる仕組みを制度として作り上げる改革なのです。そのために、行われたのが規制緩和と称しての株式会社の学校設立や教育特区での学校選択制の導入だったのです